デザインするものが、変わった。
以前は、デザインといえば、ものをつくることだと思っていました。ポスターやパッケージ、画面。形になったものが、仕事の答えだと考えていた時期があります。
ただ、人が関わる仕事は、思ったようには進みません。
職種が違えば、見ているものも違います。長く仕事をしていれば、それぞれに守りたいものや、譲れない判断もあります。こちらが正しいと思っていることを、そのまま伝えてもうまくいかないことは、何度もありました。自分の考えを通そうとして、かえって話が遠回りになったこともあります。
そんなことが重なって、相手を説得するより、まず「なぜそう考えるのか」を知ることの方が大事だと思うようになりました。
話を聞く。立場を整理する。どこなら一緒に進めるかを探す。必要なら、進め方そのものを変える。
振り返ると、私の仕事は制作よりも、そういう時間の方が長かったのかもしれません。
いつからか、デザインしている対象が、制作物だけではなくなっていました。誰と何を共有するか。どの順番で進めるか。どこで判断するか。どうすればそれぞれの仕事がつながるか。
ものをデザインすることから、仕事のプロセスをデザインすることへ。考え方が変わったのは、たぶんそのあたりです。
商品開発も、デザインも、広報も、Webも、SNSも、別々の作業というより、一つの目的へ向かう接点に見えるようになりました。コミュニケーションデザイナーという呼び方は、そのあとについてきました。